○天草広域連合患者等搬送事業指導及び認定に関する要綱
平成20年10月30日
消防長訓令第8号
(目的)
第1条 この要綱は、天草広域連合管内における民間による患者等の搬送事業者に対し、必要な指導を行うとともに、一定の基準に適合する患者等の搬送事業者の認定を行うことにより、患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(1) 患者等 寝たきり老人、車椅子又は寝台を必要とする身体障害者及び傷病者等をいう。
(2) 患者等搬送業務 患者等を医療機関及び社会福祉施設等へ搬送するために必要な構造及び設備を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し、患者等を搬送する業務をいう。
(3) 患者等搬送事業者 患者等搬送業務を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 乗務員 患者等搬送用自動車に乗務し、搬送業務に従事する者をいう。
(5) 適任証 消防機関が実施する講習等を終了した者に与えられるもので、患者等搬送乗務員としての資格の証をいう。
(6) 定期講習 乗務員が応急手当技能を維持するために消防機関が実施する講習をいう。
(患者等搬送業務の制限)
第3条 患者等搬送事業者は、緊急性のない者を搬送対象とする。
2 パンフレット等の事業案内においては、救急隊と同レベルの活動ができるかのような市民等に誤解を与えるおそれのある表現を避けなければならない。
3 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈してはならない。
(消防機関との連携)
第4条 患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、119番等により、患者等のいる場所、状態、既往症及び掛かり付けの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請するとともに救急隊員に協力しなければならない。
(1) 患者等からの要請時点において、緊急に医療機関へ搬送が必要である場合
(2) 要請者の依頼場所に到着時点において、緊急に医療機関に搬送する必要がある場合
(3) 患者等の搬送途上において、緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合
(乗務員の要件)
第5条 患者等搬送用自動車の乗務員は、満18歳以上の者で、別表第1に掲げる消防機関が行う講習(以下「適任者講習」という。)を修了した者を充てなければならない。ただし、次に掲げる者については、消防機関の行う適任者講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者として充てることができる。
(1) 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第50条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者
(2) 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で、資格の有効期間内の者(消防機関の行う適任者講習で不足する課目について講習を受講した者に限る。)
(3) 前2号に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者
(適任証の携帯)
第6条 乗務員は、搬送業務に従事するときは、適任証を携帯しなければならない。
(運行体制)
第7条 患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車1台につき2名以上の乗務員をもって業務を行わせなければならない。ただし、退院等を目的とした運行をする場合、又は医師若しくは看護師等が同乗する場合は、乗務員を1名とすることができるものとする。
(知識及び技術の維持管理)
第8条 患者等搬送事業者は、乗務員に対し患者等の安全な搬送に関する知識及び技術を向上させるために、積極的に研修訓練を実施しなければならない。
2 患者搬送等事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証の交付を受けた乗務員に、2年に1回以上消防機関の行う別表第2に掲げる定期講習を受講させなければならない。
(患者等搬送用自動車の要件)
第9条 患者等搬送用自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものでなければならない。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等を確実に固定できる構造であること。
(5) 自動車電話又は無線機等による通信及び連絡に必要な設備を有していること。
(積載資器材)
第10条 患者等搬送用自動車には、別表第3に掲げる資器材を積載しなければならない。
(消毒の実施要領等)
第11条 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次に定めるところにより行わなければならない。
(1) 定期消毒は、毎月1回以上定期的に実施すること。
(2) 使用後は、その都度実施すること。
(3) 医師からの消毒について特別な指示があった場合は、指示に基づいた消毒を行うこと。
(衛生、安全管理等)
第12条 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めなければならない。
2 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めなければならない。
(患者等搬送用自動車の表示)
第13条 患者等搬送用自動車には、患者等搬送用自動車認定マーク(別図1)を自動車後面の運転の視野を妨げない見やすい位置に貼付しなければならない。
(講習)
第14条 消防長は、患者等搬送業務に必要な知識、技術を乗務員に習得させるために適任者講習及び定期講習を実施するものとする。
3 適任証の有効期限は、2年間とする。ただし、定期講習を受講した者については、さらに2年間有効とし、以後も同様とすることができる。
4 上記に掲げる講習の講師は、次のいずれかに該当する者をもって充てるものとする。
(1) 救急隊長として3年間以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めたもの
(2) 消防大学校の救急課程の修了者で、消防長が適任と認めたもの
(認定)
第15条 認定対象となる患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業免許取得者
(2) 一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動車運送事業免許取得者
(3) 一般貸切旅客自動車運送事業の免許取得者
(4) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(5) 無償自動車運送事業の届出者
2 消防長は、審査の結果、認定しなかったときは、その理由を付して認定・不認定通知書を送付するとともに、患者等搬送事業者に認定審査基準に適合するよう指導することができる。
(認定証等の有効期間)
第19条 認定証等の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第20条 認定業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、当該認定の期間の満了する日の1ヶ月前から当該認定の期間の満了する日までの間に、消防長に更新を申請しなければならない。
2 更新手続は、認定時の手続を準用するものとする。
(認定証等の再交付)
第21条 認定業者は、認定証等を亡失、汚損又は破損したときは、認定証等再交付申請書(様式第10号)を提出し、認定証等の再交付申請をすることができる。
2 消防長は、前項の申請書の記載事項等の内容を確認の上、必要と認めた場合は、再交付を行うものとする。
(事業の休止等)
第22条 認定業者は、患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止したときは、患者等搬送事業廃止・休止届出書(様式第11号)を消防長に届出なければならない。
(認定の取消等)
第23条 消防長は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができるものとする。
(1) 認定業者がこの要綱を遵守しないとき。
(2) 業務の遂行に当たって、重大な事故を発生させたとき。
(3) 前2号に掲げる場合のほか、認定を継続することが不適当と判断されるとき。
2 消防長は、認定を取り消したときは、当該認定業者に認定取消通知書(様式第12号)を送付するものとする。
(認定の失効)
第24条 認定業者が次の各号のいずれかに該当するときは、認定の効力を失うものとする。
(1) 道路運送法(昭和26年法律第183号)に定めるところにより、国土交通大臣の免許等が取り消しされ又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定証等の返却)
第25条 認定業者は、前2条に該当するに至った場合は、速やかに認定証等を返却しなければならない。
(認定業者の責務)
第26条 認定業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めなければならない。
2 認定業者は、事業の社会的責任を十分に自覚し、関係法規を遵守するとともに指導及び認定に関する事項を誠実に履行しなければならない。
3 認定業者は、患者等搬送業務遂行中、次に該当する事案を扱い、又は発生したときは、速やかに患者等搬送業務事故報告書(様式第13号)を消防長に提出しなければならない。
(1) 患者等を搬送中に容態変化があり、応急処置を実施した場合
(2) 感染患者を扱った場合(事後に判明した場合を含む。)
(3) 患者等を搬送中に交通事故等を発生させた場合
(認定業者の調査)
第27条 消防長は、年1回以上認定業者に対し、認定基準及び遵守業務の履行状況について調査することができる。
2 消防長は、前項の調査結果から不適事項が認められたときは、認定基準及び遵守業務に適合するよう認定業者に指導することができる。
(情報の提供等)
第28条 消防長は、認定業者から診療情報等の照会があったときは、支障のない限り天草広域連合消防本部で把握している医療機関等の診療情報を提供することができるものとする。
2 消防長は、市民等から患者等搬送事業の照会があったときは、認定業者を紹介することができるものとする。
附則
この訓令は、制定の日から施行する。
附則(平成28年消防長訓令第11号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
別表第1(第5条関係)
1 消防機関の行う講習
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急措置 | 13 |
体位管理要領 | 2 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 |
搬送法 | 2 |
修了考査 | 2 |
合計 | 24 |
※ 課目の1時間は45分とする。
2 乗務員の終了考査実施基準
修了考査は次の内容とし、80点以上をもって合格とする。
区分 | 課目 | 配点 |
実技 | 観察要領及び応急措置 | 60点 |
筆記 | 消防機関との連携要領 | 20点 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 20点 | |
合計 | 100点 |
別表第2(第8条関係)
定期講習は、次の表に掲げるものとする。
課目 | 時間数 |
観察要領及び応急措置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
※ 課目の1時間は、45分とする。
別表第3(第10条関係)
患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | マスク・バッグ ポケットマスク |
保温用等資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計等 |