○天草広域連合消防救急艇安全基準

平成13年7月2日

消防長訓令第33号

1 出航、帰航及び着岸の安全基準

(1) 航行予定海域の地形、海潮流、水深、障害物、泊地及び漁業施設の情報を常に入手するとともに、次の事項に留意すること。

ア 法定備品その他災害時使用の積載品の確認を行う。

イ 船体・機関・通信設備等は、使用の際常に良好な状態を保つこと。

(2) 不時の接触事故に備えて、フェンダー等で船体保護がとれるように総員配置に着くこと。

(3) 着岸時には陸上係船員と連絡を密にすること。

(4) 係船員は、風、潮流の強さの状況を十分に把握し、係留索の時期を失しないこと。

(5) 船首係船員は前方を、船尾係船員は後方の安全を確認し、消防救急艇を安全に誘導すること。

(6) 転落防止のために係留索の送り出し及び取り込みは、ハンドレールの内側でまた取り込んだ係留索は手早く整理整頓すること。

(7) 船員が岸壁等に移り変わる時には、転落防止のため、船首弦側に誘導員を付け、消防救急艇が完全に岸壁等についた状態で移り変わること。

(8) 荒天時又は責任者の命令により、救命胴衣、安全帯及び保安帽を着装すること。

2 航海時の安全基準

(1) 航海中は、両舷に見張り員を配置し、他船の動静又は海上の障害となる浮遊物の発見に努めること。

(2) 航路又は船溜まりや船舶が輻輳する付近を航行する時は、見張りを厳重にし他船との距離を十分に保ち、速力を落とし引き波等をたてないように十分注意すること。

(3) 魚さく区域付近の航行時は、漁網ロープ、棒杭等に配意し、プロペラの巻き込み防止に十分注意すること。

(4) 視界が悪い時、又は夜間においては速力を落とし、見張りを厳重にして周囲の状況を慎重に観察し、レーダー及び航海計器を利用して船位の測定に努めること。

(5) 視界が悪くなったら、艇外の音等に留意し、レーダーのみに頼らないこと。

(6) レーダーはよく調整し、良好な映像でレンジを時々切り替えて監視し、相手船の映像を確認したら、相手船又は航跡そのものを肉眼で確認すること。

(7) 浅瀬付近や河口付近を航行する時には速力を落とし、測深機を活用して水深を確かめながら、十分余裕のあるところを進み、乗り上げ等を防止すること。また、進入可能な水深は、喫水線から約3メートル、測深機の測定水深は約2メートル(ブラケットから海底までの余裕80センチメートル)を目安の限界とする。なお、これ以下のところに進入するときは、船首尾に誘導員を配置し細心の注意を払って最減速で進入すること。

(8) 橋桁下部等を航行するときは、潮見表で現潮位を求め、マスト上部の無線アンテナ等が障害物に接触しないように誘導員を配置し、十分余裕のある高さ(約50センチメートル以上)を以て航行すること。また、マストは、喫水線からマスト上部の高さまで6メートルであるため、1メートル以上の余裕をとると約7メートル以上必要となる。

(9) 航行時に錨泊するときは周囲の状況及び水深、風、潮の方向等を考慮し、横波を受けないよう的確な方法を取ること。

(10) 機関室に入室する時は、保護耳当て等を着装するとともに、操舵室員と連絡を密にすること。

(11) 荒天時に上甲板部(特に舷側)で作業をする場合は、デッキシューズ、救命胴衣及び安全帯の着装を再確認すること。

3 作業時の個別安全基準

(1) 塗装作業及び塗装剥離作業

ア 作業内容

引火性若しくは可燃性の塗料及び溶剤を使用する場合、又は人体に有害な性質の塗料若しくは溶剤を使用しての塗装又は剥離等の作業

イ 作業範囲

艇全般の塗装又は剥離等の作業

ウ 作業細目

(ア) 作業場所は、火気の使用及び喫煙を禁止すること。

(イ) 作業場所においては、火花を発し、又は高温となって点火源となるおそれのある器具を使用しないこと。

(ウ) 作業に使用した布切れ又は剥離した屑等は、放置しないこと。

(エ) 作業に従事する者以外の者を、みだりに作業場所に近寄せないこと。

(オ) 作業場所の付近に適当な消火器具を用意すること。

(カ) 人体に有害な作業を行う場所では、保護マスク及び保護手袋等を使用すること。

(キ) 船内の作業中は適宜換気を行うこと。

(ク) 作業に従事する者は、十分な休息時間をとること。

(2) 有害な気体が発生するおそれのある場所等で行う作業

ア 作業内容

人体に有害な気体が発生するおそれのある場所においての作業

イ 作業範囲

FRP張り作業

ウ 作業細目

(ア) 作業中は適宜換気を行うとともに、保護マスク、保護眼鏡、保護衣及び保護手袋等を使用すること。

(イ) 作業に従事する者が、頭痛、めまい、吐き気等の身体の異状を訴えた場合は、直ちに作業を中止し、安全性の確認が得られるまでは作業を再開しないこと。

(ウ) 身体の異状を訴えた者には、速やかに医師による処置、又はその他の適当な救急処置を講ずること。

(3) 高所作業

ア 作業内容

高所で転落のおそれのある場所での作業

イ 作業範囲

マスト及び操舵室天蓋部における作業

ウ 作業細目

(ア) 作業に従事するものは、保護帽及び安全帯を着装すること。

(イ) レーダー、無線用アンテナ及びその他の設備の付近で作業を行う場合には、係員と連絡を密にすること。

(ウ) 作業場所の下方における通行を制限すること。

(エ) 船体の動揺又は風速が著しく大なる場合は、緊急の場合を除き、作業は行わないこと。

(オ) 高所で転落のおそれのある場所での危険作業は、経験又は技能を有する者が行うこと。ただし、熟練者と組になって作業を行う場合は、この限りでない。

(4) 船外作業

ア 作業内容

船体外板全般にわたる作業

イ 作業範囲

船体外板の塗装、船外に身体の重心を移して行う作業

ウ 作業細目

(ア) 作業に従事する者は、安全帯又は救命胴衣等を着装すること。

(イ) 作業に従事する者との連絡のための監視員を配置すること。ただし、2人以上の者が同時に作業するときは、この限りでない。

(ウ) 船体の動揺又は風速が著しく大なる場合は、緊急の場合を除き、作業は行わないこと。

(エ) 特に船外に身体の重心を移して行う危険作業は、経験又は技能を有する者が行うこと。ただし、熟練者と組になって作業を行う場合はこの限りでない。

(5) 揚収装置を使用しての揚投錨及び係留作業

ア 作業内容

揚投錨の作業又は係留の作業

イ 作業範囲

アンカーの投入、キャプスタン等を使用しての揚収又は達着作業

ウ 作業細目

(ア) 作業を開始する前に、キャプスタン等の作動状態、錨鎖・索具類の状態を点検すること。

(イ) キャプスタン、その他の装置の作動部分又は巻き込み、繰り出し若しくは解き放す場合における錨鎖・索具類にはみだりに身体を接触させたり、またがないようにし、当該作業に従事する者以外は近寄らないこと。

(ウ) 投錨作業を開始する前に、アンカー・錨鎖の落下する水面付近に支障がないことを確認すること。

(エ) 作業に従事する者は、保護帽、保護靴及び保護手袋等の保護具を使用すること。

(オ) 荒天時及び船外の作業には、救命胴衣を着装すること。

(カ) 作業に従事する者の服装は、袖口・上着の裾等を締め付ける等を行い巻き込まれないようにすること。

(キ) 作業の指揮を行う者と作業に従事する者との間で合図、信号等を定め連絡を密にすること。

(ク) 揚錨・錨鎖等の海中への投入又は巻上等のキャプスタンの操作は、熟練者が行うこと。

(ケ) 点検及び修理を行う場合は、キャプスタンの動力源を遮断すること。

(6) 錆落とし作業

ア 作業内容

金くず等の飛来により危害を受けるおそれがある作業

イ 作業範囲

船体の全般作業

ウ 作業細目

(ア) 作業に従事する者は、保護眼鏡、保護耳栓及びその他の保護具を使用すること。

(イ) 金くず等が著しく発散する場所で作業を行う場合は、換気を十分に行うとともに、防塵性の保護マスクを使用すること。

(7) 騒音の激しい作業

ア 作業内容

高速機械の運転で、騒音の激しいところでの作業

イ 作業範囲

主機関の運転作業

ウ 作業細目

(ア) 作業に従事する者は、保護耳栓及び保護手袋等の必要な保護具を使用すること。

(イ) 作業に従事する者の服装は、袖口、上着の裾等を締め付ける等を行い、巻き込まれないようにすること。

(ウ) 作業に従事する者は、十分な休息時間をとること。

(8) 高温状態で日射を受けて行う作業

ア 作業内容

炎天下において甲板上で行う作業等高温状態において日射を受けての作業

イ 作業範囲

艇の甲板上で行う各種作業

ウ 作業細目

(ア) 作業に従事する前に天幕、その他の遮蔽物の設置を行うこと。

(イ) 作業に従事する者は、保護帽、保護眼鏡、保護衣及び保護手袋等日射による障害から保護するために必要な保護具を使用すること。

(ウ) 作業に従事する者は、十分休息時間をとること。

(9) 機械類の修理作業

ア 作業内容

動力機械、その他の機械類の修理又は物品の取り替え作業

イ 作業範囲

主機関、消防ポンプ及びこれらに附属する装置全般の修理

ウ 作業細目

(ア) 作業に従事する者は、保護帽、保護靴及びその他の作業に必要な保護具を使用すること。

(イ) 作業に従事する者に危害を及ぼすおそれがある場合は、修理部分、取替え部分及びその他の部分を動力源から遮断する等の安全措置を講ずること。

(ウ) 作業に従事する者は、袖口、上着の裾等を締め付ける等を行い巻き込まれるおそれのないようにすること。

(エ) 運転中の機械又は動力伝導装置の作動している部分の注油清掃、修理又は点検若しくは作動しているベルトの掛替え作業については、熟練者が行うこと。

(10) 油タンク等の清掃作業

ア 作業内容

引火性液体を積載しているタンクの清掃作業

イ 作業範囲

燃料タンク内部の清掃作業

ウ 作業細目

(ア) 気象、海象等の状況が作業の安全に支障がないことを確認すること。

(イ) タンク内における火気の使用及び喫煙を禁止すること。

(ウ) 作業場所付近に適当な消火器具を配置すること。

(エ) 作業に従事する者は、保護帽、保護靴及び保護マスク等を使用すること。

(オ) 作業場所及びタンク内部の換気を十分行うこと。

(カ) 火花を発し又は高温となり、点火源となるおそれのある器具等は、使用しないこと。

(キ) 作業に使用した布切れ等は、みだりに放置しないこと。

(ク) 作業に従事する者の服装は、皮膚の露出部分が少ないものを着用すること。

(ケ) 作業に従事する者は、十分な休息時間をとること。

この訓令は、公布の日から施行し、平成13年7月1日から適用する。

(平成19年消防長訓令第9号)

この訓令は、平成19年4月1日から施行する。

天草広域連合消防救急艇安全基準

平成13年7月2日 消防長訓令第33号

(平成19年4月1日施行)

体系情報
第9編 防/第4章
沿革情報
平成13年7月2日 消防長訓令第33号
平成19年3月26日 消防長訓令第9号