○天草広域連合職員の懲戒処分等の指針
平成25年7月17日
この指針は、職員が違法行為や全体の奉仕者としてふさわしくない非行等(以下「非違行為」という。)を行った場合の懲戒処分の標準的な処分例を明らかにすることにより、住民の不信や疑惑を招くような不祥事を防止し、天草広域連合に対する信頼を確保することを目的とする。
第1 基本事項
本指針は、非違行為の代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分例を掲げたものである。
具体的な処分内容の決定に当たっては、
① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか。
② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか。
③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか。
④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか。
⑤ 過去に非違行為を行っているか。
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分以外の処分とすることもある。また、第5に掲げる複数の非違行為等に該当する場合は、標準例より更に重い処分を行うこともある。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、
① 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
② 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
がある。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては人事院の懲戒処分の指針及び他団体の取扱い等を参考としつつ判断する。
第2 懲戒処分等の種類
1 懲戒処分
地方公務員法第29条の規定により、職員の非違行為に対して行う次の処分をいう。
(1) 免職 職員としての身分を失わせる処分
(2) 停職 職員としての身分を確保したまま、1日以上6月以下の間、職務に従事させない処分
(3) 減給 1日以上6月以下の間、給料月額の10分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分
(4) 戒告 非違行為の責任を確認させ、その将来を戒める処分
2 訓告
自己の行為に対する責任や管理監督責任を自覚させ、職務遂行に対する姿勢の改善や意識向上等を目的として行う懲戒処分に該当しない監督及び指導上の措置をいう。
第3 報告義務
1 職員の報告義務
職員は、次のいずれかに該当するときは、直ちに所属長に報告しなければならない。
(1) 第5の標準例として掲げる非違行為又はそれに類する行為を行ったとき。
(2) 交通事故(人の死亡若しくは負傷を伴う場合又は他人の物を損壊した場合に限る。)を起こしたとき。(前号に該当する場合を除く。)
(3) 交通法規に違反したとき。(前2号に該当する場合を除く。)
2 所属長の報告義務
前項の報告を受けた所属長は、報告された行為が第5の標準例として掲げる非違行為又はそれに類する行為に該当すると認めるときは、天草広域連合職員の懲戒処分等に関する取扱要綱第3条の規定に基づき対応しなければならない。
第4 懲戒処分の公表
1 公表する処分等
(1) 地方公務員法に基づく懲戒処分
(2) 地方公務員法に基づく分限休職処分(刑事事件に関し起訴された場合に限る。)
(3) 上記(1)に関連して管理監督者等に対する訓告
2 公表する内容
(1) 公表する内容は、被処分者の職級、性別、年齢、処分の種類・時期、事実の概要とする。
(2) 収賄、横領等社会的影響の大きな事件で、起訴等により被処分者の氏名等が公にされている場合には、所属名、職名、氏名を併せて公表する。
(3) 懲戒免職処分を行った場合は、所属名、職名、氏名を併せて公表する。
3 公表の例外
被害者及びその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれのある場合は、公表する内容の一部又は全部を公表しないことができるものとする。
第5 標準例
1 一般服務関係
非違行為の類型 | 類型の詳細 | 懲戒処分の標準例 | |||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | ||
(1) 欠勤 | ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた場合 | ○ | ○ | ||
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた場合 | ○ | ○ | |||
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた場合 | ○ | ○ | |||
(2) 遅刻・早退 | 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた場合 | ○ | |||
(3) 休暇の虚偽申請 | 病気休暇、特別休暇又は職務専念義務免除について虚偽の申請をした場合 | ○ | ○ | ||
(4) 勤務態度不良 | 勤務時間中に職場を離脱して勤務を怠り、公務運営に支障を生じさせた場合 | ○ | ○ | ||
(5) 他の職員に対する暴言・暴行 | ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した場合 | ○ | ○ | ||
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した場合 | ○ | ○ | |||
(6) 虚偽報告 | 事実をねつ造して虚偽の報告をした場合 | ○ | ○ | ||
(7) 違法な職員団体活動 | ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反してストライキ等の争議行為を行い、又は職場の活動能率を低下させる怠業的行為をした場合 | ○ | ○ | ||
イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった場合 | ○ | ○ | |||
(8) 秘密漏えい | ア 職務上知ることができた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | ○ | ○ | ||
イ アにおいて、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした場合 | ○ | ||||
ウ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | ○ | ○ | ○ | ||
(9) 個人の秘密情報の目的外収集 | ア その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した場合 | ○ | ○ | ||
イ 職務上知ることができた個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用した場合 | ○ | ○ | ○ | ||
(10) 違法な政治的行為 | 地方公務員法第36条第1項又は同条第2項の規定に違反する政治的行為を行った場合 | ○ | ○ | ○ | |
(11) 営利企業等の従事 | 許可なく営利企業等の役員の職を兼ね、又は営利企業等に従事した場合 | ○ | ○ | ||
(12) 入札談合等に関与する行為 | 広域連合が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った場合 | ○ | ○ | ||
(13) 行政文書の不適正な取扱い | ア 行政文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の行政文書を作成し、又は行政文書を毀棄した場合 | ○ | ○ | ||
イ 決裁文書を改ざんした場合 | ○ | ○ | |||
ウ 行政文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | ○ | ○ | ○ | ||
(14) セクシュアルハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動) | ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした場合 | ○ | ○ | ||
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した場合 | ○ | ○ | |||
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより、相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患した場合 | ○ | ○ | |||
エ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的言動を行った場合 | ○ | ○ | |||
(15) パワー・ハラスメント(職務に関する優越的な関係を背景として行われる言動) | ア パワー・ハラスメント行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた場合 | ○ | ○ | ○ | |
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導・注意等を受けたにもかかわらず、その言動を繰り返した場合 | ○ | ○ | |||
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重責による精神疾患に罹患させた場合 | ○ | ○ | ○ | ||
(16) 施設利用者等に対する暴行・傷害 | ア 施設利用者等に対し暴行を加え、傷害に至らなかった場合 | ○ | ○ | ||
イ 施設利用者等の身体を傷害した場合 | ○ | ○ | |||
(17) 収賄 | 職務に関して賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした場合 | ○ |
(注) 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
2 公金・公物取扱い関係
非違行為の類型 | 類型の詳細 | 懲戒処分の標準例 | |||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | ||
(1) 横領 | 公金又は公物を横領した場合 | ○ | |||
(2) 窃取 | 公金又は公物を盗んだ場合 | ○ | |||
(3) 詐取 | 人を欺いて公金又は公物を取得した場合 | ○ | |||
(4) 紛失 | 公金又は公物を紛失した場合 | ○ | |||
(5) 盗難 | 重大な過失により公金又は公物の盗難に遭った場合 | ○ | |||
(6) 公物損壊 | 故意に職場において公物を損壊した場合 | ○ | ○ | ||
(7) 出火・爆発 | 過失により職場において公物の出火、爆発を引き起こした場合 | ○ | |||
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給 | ア 故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した場合及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した場合 | ○ | ○ | ||
イ 重大な過失により届出を誤り又は怠り、諸給与を不正に受給した場合 | ○ | ○ | |||
(9) 公金・公物処理不適正 | 自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした場合 | ○ | ○ | ||
(10) コンピュータ等の不適正使用 | ア 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務運営に支障を生じさせた場合 | ○ | ○ | ○ | |
イ 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータシステムにおける安全上の不備を利用して不正にコンピュータネットワークにアクセスし、システム又は情報資産等の破壊若しくは改ざんを行い、情報を漏えいさせた場合 | ○ | ○ | |||
ウ 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータシステムの安全上の不備を利用して不正にコンピュータネットワークにアクセスした場合 | ○ | ○ |
3 公務外非行関係
非違行為の類型 | 類型の詳細 | 懲戒処分の標準例 | |||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | ||
(1) 放火 | 放火をした場合 | ○ | |||
(2) 殺人 | 人を殺した場合 | ○ | |||
(3) 傷害 | 人の身体を傷害した場合 | ○ | ○ | ||
(4) 暴行・けんか | 暴行を加え、又はけんかをし、傷害に至らなかった場合 | ○ | ○ | ||
(5) 器物損壊 | 故意に他人の物を損壊した場合 | ○ | ○ | ||
(6) 横領 | ア 自己の占有する他人の物を横領した場合 | ○ | ○ | ||
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合 | ○ | ○ | |||
(7) 窃盗・強盗 | ア 他人の財物を盗んだ場合 | ○ | ○ | ||
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強奪した場合 | ○ | ||||
(8) 詐欺・恐喝 | 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた場合 | ○ | ○ | ||
(9) 賭博 | ア 賭博をした場合 | ○ | ○ | ||
イ 常習として賭博をした場合 | ○ | ||||
(10) 麻薬等の所持等 | 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等を所持、使用、譲渡等した場合 | ○ | |||
(11) 酩酊による粗野な言動等 | 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しい粗野又は乱暴な言動をした場合 | ○ | ○ | ||
(12) みだらな性行為 | 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束してみだらな性行為をした場合 | ○ | ○ | ||
(13) 痴漢行為 | 公共の場所又は乗物において痴漢行為をした場合 | ○ | ○ | ||
(14) 盗撮行為 | 公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした場合 | ○ | ○ |
4 交通事故・交通違反関係
非違行為の類型 | 類型の詳細 | 懲戒処分の標準例 | |||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | ||
(1) 飲酒運転での交通事故 | ア 人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた場合 ※ 人に傷害を負わせた場合で、傷害の程度が軽微な場合又は特段の事情がある場合には停職とすることができる。 | ○ | |||
イ 他人の物を損壊した場合 | ○ | ○ | |||
ウ ア及びイにおいて、事故後の救護や危険防止を怠る等の措置義務違反をした場合 | ○ | ||||
(2) 飲酒運転以外の交通事故(人身事故を伴うもの) | ア 人を死亡させ、又は人に重篤な傷害を負わせた場合 | ○ | ○ | ○ | |
イ アにおいて、事故後の救護を怠る等の措置義務違反(以下「救護等の措置義務違反」という。)をした場合 | ○ | ○ | |||
ウ 人に傷害を負わせた場合 | ○ | ○ | ○ | ||
エ ウにおいて、救護等の措置義務違反をした場合 | ○ | ○ | |||
(3) 交通法規違反 | ア 飲酒運転をした場合 | ○ | ○ | ||
イ 飲酒運転となることを知りながら他の者に酒類を提供し、又は飲酒を勧めた場合 | ○ | ○ | ○ | ||
ウ 飲酒運転であることを知りながらこれに同乗したり、同乗しない場合であっても飲酒運転であることを知りながら容認した場合 | ○ | ○ | ○ | ||
エ 著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした場合 | ○ | ○ | ○ | ||
オ エにおいて、物の損壊に係る交通事故を起こして、事故後の危険防止を怠る等の措置義務違反をした場合 | ○ | ○ | ○ |
(注1) 飲酒運転とは、酒酔い運転及び酒気帯び運転をいう。
(注2) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応状況も情状として考慮の上判断するものとする。
5 監督責任関係
非違行為の類型 | 類型の詳細 | 懲戒処分の標準例 | |||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | ||
(1) 指導監督不適正 | 部下職員が懲戒処分を受けた場合等で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた場合 | ○ | ○ | ||
(2) 非行の隠ぺい・黙認 | 部下職員の非違行為を知り得たにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した場合 | ○ | ○ |
第6 施行期日等
1 この指針は、平成25年8月1日から施行し、同日以後に発生した非違行為について適用する。
2 天草広域連合職員の分限処分及び懲戒処分の指針(平成17年6月10日施行)及び懲戒処分等の公表指針(平成23年8月1日施行)は、この指針の施行をもって、廃止する。
附則(令和4年指針第1号)
(施行期日)
1 この指針は、令和4年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この指針の施行日前に行われた非違行為に係る懲戒処分及び訓告については、なお従前の例による。