○天草広域連合消防水利施設設計等の同意に関する要綱

令和7年2月27日

消防長訓令第3号

第1章 総則

(目的)

第1条 この要綱は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第32条に基づく開発行為の同意及び協議に関し、天草広域連合管内に設置される防火水槽及び消火栓(以下「消防水利」という。)並びに消防活動上必要な施設等について適正に配置することを目的とする。

(用語の定義)

第2条 用語の定義については、次の各号に定めるところによる。

(1) 公設消火栓 関係市町が維持管理する消火栓

(2) 私設消火栓 関係市町以外が維持管理する消火栓

(3) 公設防火水槽 関係市町が維持管理する防火水槽

(4) 私設防火水槽 関係市町以外が維持管理する防火水槽

(5) その他の防火水槽 前2号に掲げる以外の防火水槽

第2章 消防水利の基準

(消防水利の計画)

第3条 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第25条第1項第8号の規定により設置する消防水利は、次の各号に適合するものでなければならない。

(1) 消防水利の有効範囲は、別表第1に掲げる用途地域(都市計画法第8条第1項第1号に規定するものをいう。以下同じ。)に応じ、それぞれ同表に定める範囲とする。

(2) 開発行為に伴い設置される消防水利は、設置点を中心に前号に定める用途地域毎の有効範囲内で、開発区域全域が包含されるように配置しなければならない。ただし、開発区域の全部又は一部が、有効に活用できる既存の消防水利から有効範囲内にある場合は、設置個数を減じ又は設置しないことができるものとする。

(3) 前号にかかわらず、開発区域の面積が10,000m2以上の場合に設置する消防水利は、消火栓の有無にかかわらず、原則50,000m2に1個を単位として防火水槽を設置する。ただし、消防活動上有効な消火栓を防火水槽と併せて設置する場合は、防火水槽の設置数について消防本部と協議することができる。

(4) 開発区域の地形、予定建築物、消火栓の給水能力、開発区域周辺の状況等を総合的に勘案して、消防長が防火水槽を必要と認めた場合は、50,000m2未満でも設置するものとする。

(5) 防火水槽と兼用で消防法施行令(昭和36年政令第37号)第27条に規定する消防用水を設置することができる。その場合は、防火水槽の水量に当該消防用水の有効水量を加算するものとする。

2 消防水利として防火水槽を設置する場合は、関係市町と協議を行う以外に次の各号の基準による。

(1) 設置場所は次の基準による。

 消防ポンプ自動車が容易に部署できる位置で公道に面した場所であり、防火水槽に接する道路の縦断勾配は、5%以下とする。ただし、これにより難い場合は、消防本部と別途協議すること。

 水利部署した消防ポンプ自動車の給水口から防火水槽のストレーナー入れ部分の底面までの距離は8m以内とする。

 維持管理上、支障のない位置であること。

 崩壊、埋没等のおそれのない位置であること。

 防火水槽を設置する場所は、開発区域の奥まった場所(袋小路)は避け、消防活動上有効な場所であること。

(2) 規格、構造等は次の基準による。

 原則として常時貯水量が40m3以上であること。ただし、開発行為に伴い設置されるもので、常時貯水量が40m3以上の防火水槽の設置に支障をきたす場合は、消防本部と協議し、毎分1m3以上で、かつ、40分以上の給水装置を備えた常時貯水量が20m3以上のものとすることができる。

 (財)日本消防設備安全センターの認定製品で地下又は半地下式有蓋のもの。又は鉄筋コンクリート造りであり、かつ、漏水防止が完全であること。

 地盤面から底面までの落差は、4.5m以下であること。

 吸管投入孔は、原則として2箇所設け、形状にあっては円形とし、その直径は0.6m以上であること。

 吸管投入孔の直下の底面に深さ0.5m以上、一辺が0.6m以上の枡状又は円柱状の「ストレーナー入れ」を設けること。

 ぐり石等により必要な基礎固めをすること。

 吸管投入孔の蓋の部分については、十分な強度を有するものであること。

(3) 用地は次の基準による。

 防火水槽敷地の防火水槽本体を除いた部分は、原則として厚み5cm以上のアスファルト等を敷くなど、全面舗装とすること。

 防火水槽の直近(おおむね5m以内)にその所在が明確にできるよう、標識を別図第1のとおり設置すること。

 用地境界には、境界標を設置すること。

3 消防水利として消火栓を設置する場合は、関係市町の水道管理者と協議を行う以外に次のとおりとする。

(1) 道路の交差点等で消防活動が容易にできる位置で、かつ、縦断勾配5%以下であること。

(2) 取水可能量が毎分1.0m3以上で、かつ、連続40分以上の給水能力を有するものであること。

(3) 消火栓は呼称65の口径を有するもので、直径150mm以上の水道配水管に取り付けられていること。ただし、直径150mm未満の水道配水管に取り付ける場合、水道配水管が管網状に敷設されており、直径150mm以上の水道配水管を基点として、管網の一辺が180m以内で、かつ、直径75mm以上の水道配水管に取り付けられていること。また、水道配水管が枝状に敷設されている場合、直径150mm以上の水道配水管から分岐された直径75mm以上の水道配水管であって、枝状の一辺が180m以内で、かつ、分岐点から最も近いところに設置された消火栓1個だけは消防水利として認められるものである。

(4) 前号の規定にかかわらず、解析及び実測により、取水可能水量が毎分1m3以上であると認められる場合は、管の直径を75mm以上とすることができる。この場合において、消火栓の位置その他の消防水利の状況を勘案し、地域の実情に応じた消火活動に必要な水量の供給に支障のないよう留意すること。

(5) 消火栓の直近(おおむね5m以内)にその所在が明確にできるような標識を、別図第1のとおり設置すること。

4 開発行為に伴う審査等の際、消防水利として認知しないものは次のとおりとする。

(1) 開発区域を基点として、消防活動上支障をきたす河川、片側2車線以上の道路、軌道敷又は線路等により既設の消防水利が隔てられているもの

(2) 開発区域を基点として、消防活動上支障をきたす急勾配傾斜障害又は段差等が、既設の消防水利との間に存在するもの

(3) 開発区域を基点として、消防水利と歩行距離がおおむね200m以上離れているもの

(4) 天草広域連合管内以外に設置された消防水利

(5) 関係市町の内、各市町を超えて設置された消防水利

(消防水利の同意)

第4条 消防水利の同意については次のとおりとする。

(1) 消防長は、開発行為者が開発行為に伴う消防水利の同意を求める場合、別表第2に掲げる書類の提出を持って受理する。

(2) 消防長は、前号による申請を受けたとき、消防水利の基準(昭和39年消防庁告示第7号)及び前条の規定に適合する場合は、消防水利施設設計の同意書(様式第3号)を交付するものとする。

(消防水利施設の施工検査)

第5条 開発行為に係る消防水利施設設計の同意を受けた者は、当該消防水利施設に関する工事が完了したときは、消防水利施設に関する工事検査願(様式第4号)を提出し完成検査を受けなければならない。

(1) 検査は次の基準による。

 中間検査として、図面及び設置状況の確認を必ず受けること。

 完成検査時は、水張検査を受けること。

 その他必要な検査については、消防本部の指示に従うこと。

2 消防長は、消防水利施設に関する工事検査願が提出されたときは、同意の内容について検査し適合していると認めたときは、消防水利施設に関する工事の検査済証(様式第5号)を、当該同意を受けた者に交付するものとする。

第3章 消防水利の管理

(消防水利の維持管理)

第6条 公設の消防水利の維持管理については、次の各号に定めるとおりとする。

(1) 消火栓

 埋没等について

 蓋、枠の状態について

 枠内について(消防隊の使用に際しての支障の有無)

 漏水について

 その他必要事項について

(2) 防火水槽

 破損について

 漏水について

 消防車の接近可否、使用台数について

 蓋、柵の有無及び開閉状況について

 その他必要事項について

2 私設の消防水利の維持管理については、消防水利の基準に基づき、次の各号に定めるとおりとする。

(1) 私設消火栓にあっては、前項第1号に準じることとし、常時使用可能な状態に維持管理するものとする。

(2) 私設防火水槽にあっては、前項第2号に準じることとし、常時使用可能な状態に維持管理するものとする。また、開発行為により設置されたもので、関係市町に帰属されないものにあっても同様とする。

(3) 第2条第5号に掲げる防火水槽で、消防活動上使用することに支障が生じた場合は、消防本部と協議し補修及び改修するものとする。

(消防水利の廃止)

第7条 開発行為によって設置された消防水利は、廃止できないものとする。ただし、新たに消防水利の基準及び第3条第1項から第4項の規定に適合する消防水利の設置を計画し、当該消防水利を廃止しても消防活動上支障がないと判断した場合で、廃止予定消防水利を管理する関係市町の了承を得たものについてはこの限りでない。

第4章 消防活動空地

(活動空地の確保)

第8条 中高層建築物(階数が4以上のもの。)及び大規模な建築物(以下「中高層建築物等」という。)を建築することを前提とした開発行為で、開発区域の道路及び開発区域外の既存の道路と中高層建築物等との間隔が5mを超える場合は、次の各号に定めるところにより消防用活動空地及び進入路を確保するよう努めなければならない。

(1) はしご車架梯のため、中高層建築物等の外壁面から5m以内にはしご車が接近できるよう空地面積幅6m、長さ12m以上の空地を確保し、その縦横断勾配は5%以下とすること。

(2) はしご車の消防用活動空地及びその周辺の上空には、はしご車の伸長及び旋回に支障となる工作物、架空電線等を設置しないこと。

(3) 空地の構造は、総重量20tのはしご車の通行等に耐える地盤支持力を有するものであるほか、原則として道路法令に準ずるものとする。

(4) 開発区域内道路の一部又は全部をはしご車の消防活動空地とみなす場合の技術基準は、原則として前3号に準ずるものとする。

(5) 開発区域内の道路又は開発区域外の既設道路から消防用活動空地までの間に設置する進入路の有効幅員は4m以上とし、その構造は第2号及び第3号に準ずるものとする。

(6) はしご車が消防用活動空地まで通過する開発区域内道路、進入路の隅切りは消防本部と協議するものとする。

(7) 進入路上の必要な空間は、進入路に路面から高さ3.8m以下に工作物、架線等を設置しないこととし、前各号については、当該道路管理者と十分協議するものとする。

2 前項の定めにより難い場合は、消防用活動空地の確保に代えて二方向に避難が可能となる措置を講ずるよう努めなければならない。

第5章 雑則

(委任)

第9条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は別に定める。

(施行期日)

1 この要綱は、令和7年4月1日から施行する。

(天草広域連合開発行為事務処理要綱の廃止)

2 天草広域連合開発行為事務処理要綱(平成20年消防長訓令第6号)は廃止する。

別図第1(第3条第2項、第3項関係)

(数字mm)

575型(原則として支柱による掲出用)

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400型(支柱以外による掲出用)

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色彩:文字及び縁を白色、地を赤色とする。

別表第1(第3条関係)

用途地域

近隣商業地域

商業地域

工業地域

工業専用地域

その他の用途地域

(都市計画区域内)

用途地域の定めのない地域

有効範囲(m)

100

120

140

注1 有効範囲内とは、一の消防水利を中心とし、有効範囲を半径とした円の内側にあることをいう。

注2 開発区域が2以上の用途地域にわたる場合は、それぞれの用途地域の有効範囲で開発区域を包含するものとする。

注3 火災の発生及び延焼の危険性の低い部分については、少なくとも防火対象物を包含できるように消防水利が配置され、消防活動上支障がないと消防長が認める場合は、この限りではない。

別表第2(第4条関係)

1 同意申請書(様式第1号)

2 設計説明書(様式第2号)

3 位置図(縮尺10,000分の1)

4 区域図(縮尺2,500分の1)

5 法務局備え付けの地図(又は字図)

6 土地利用計画平面図(又は造成計画平面図)

7 求積図

8 求積表

9 その他審査に必要な書類

10 前記以外で消防水利の新設に必要な書類

防火水槽の新設に伴うもの

消火栓の新設に伴うもの

(配水管の新設を含む。)

(1) 給水施設計画平面図

(2) 防火水槽構造図(付帯設備詳細図及び本体周辺の縦横断面図を含む。)

(3) 二次製品防火水槽にあっては、型式番号がわかるもの(認定書等)の写し、現場打ち防火水槽にあっては防火水槽配筋図(配筋量計算表を含む。)

(1) 消防水利計画平面図

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天草広域連合消防水利施設設計等の同意に関する要綱

令和7年2月27日 消防長訓令第3号

(令和7年4月1日施行)